「完全在宅・未経験OK」「スマホだけで簡単に稼げる」など、魅力的な言葉で応募者を集め、お金や個人情報を奪う悪質な求人があります。
見るからに怪しい広告ばかりではありません。一般の求人サイトに掲載された「データ入力」の求人に応募したところ、面接後に別の仕事を勧められ、高額なコンサルティング契約を結ばされた事例も報告されています。
筆者ゆいは、在宅ワークの求人を紹介する際、会社情報や仕事内容、報酬、過去の評判などを一つずつ確認しています。
この記事では、その経験をもとに、怪しい在宅ワークを見分けるための10の確認方法を紹介します。
ゆい(管理人)
応募後に「教材費・研修費・サーバー代などが必要」と言われた場合や、募集時と違う仕事を勧められた場合は、その場で契約や支払いをしないでください。
「今日中に決めれば安くなる」「すぐに元が取れる」と急かされても、いったん電話や面談を終えましょう。
すでに契約・送金してしまった方は、消費者ホットライン「188(いやや)」へ早めに相談してください。
\データ入力詐欺についてはこちら/
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Contents -目次-
在宅ワーク詐欺は「求人に応募した後」に始まることもある
在宅ワーク詐欺というと、SNSに掲載された「誰でも月収100万円」といった広告を思い浮かべるかもしれません。
しかし、現在は普通の求人に見せかけて応募させ、面接後に募集内容とは異なる副業や高額契約へ誘導する手口もあります。
消費者庁は2025年12月、「完全在宅ワーク」「未経験OK」などと記載されたデータ入力求人への応募をきっかけに、別の「Webマーケティング業務」を勧め、高額なコンサルティング契約を結ばせる事例について注意を呼びかけました。
このことから、求人サイトに掲載されていたことや、オンライン面接を受けたことだけでは、安全の証明にならないことが分かります。
応募前だけでなく、応募後に説明された仕事内容や契約内容も確認する必要があります。
在宅ワークの求人情報をきっかけに、高額なコンサルティング契約をさせる事業者に関する注意喚起(消費者庁)
SNSの副業広告や勧誘は特に注意
SNSには、「動画を見るだけ」「スクリーンショットを送るだけ」「いいねを押すだけ」など、簡単な作業で報酬を得られるとうたう広告があります。
最初に数百円程度の報酬を実際に支払い、信用させた後で、有料タスクへの参加費や「作業ミスをした」などの名目で高額な送金を求めるような詐欺も確認されています。
消費者庁によると、簡単なタスクを行う副業に関する消費生活相談は、2024年に3,885件あり、そのうちSNSがきっかけとなった相談は72.2%を占めています。
少額でも報酬が振り込まれたから安全とは限りません。その報酬は、信用させて次の送金へ誘導するためのものである可能性があります。
令和7年版 消費者白書(消費者庁)
在宅ワーク詐欺・怪しい求人の10の見分け方
1.募集している会社名・住所・連絡先を確認
最初に、誰が募集している求人なのかを確認します。
厚生労働省は、インターネットやSNSで労働者を募集する場合、次の6つの情報を表示する必要があると案内しています。
- 募集主の氏名または名称
- 住所
- 連絡先
- 業務内容
- 就業場所
- 賃金
「在宅ワーク紹介センター」などのサービス名しか書かれておらず、運営会社名や所在地、電話番号が分からない求人には応募しない方が安全です。
連絡先がフリーメールやSNSのアカウントだけの場合も要注意です。会社名が書かれていても、実在する会社の名前を勝手に使った偽求人の可能性があるため、会社名だけで信用してはいけません。
ゆい(管理人)
大手求人サイトでも、実在する会社の名前を使って偽求人を見ましたよ。その時は、求人サイトに報告しました。
2.公式サイトと会社情報が一致しているか確認
求人に記載された会社名、所在地、電話番号、代表者名が、公式サイトの会社概要と一致しているか確認します。
採用ページしかなく、会社が誰にどのような商品・サービスを提供しているのか分からない場合も要注意です。
法人の場合は、国税庁の法人番号公表サイトで、会社名や所在地を検索する方法もあります。
ただし、法人として登記されていることは安全性の保証ではありません。
登記されたばかりの会社や、所在地を短期間で何度も変更している会社もありますので、慎重に調べましょう。
国税庁 法人番号公表サイト
3.仕事内容・報酬・契約形態が具体的に書かれているか確認
「簡単なデータ入力」「スマホでできる副業」とだけ書かれ、何を入力するのか、誰のために行う仕事なのか、どのように報酬が決まるのかが分からない求人は危険です。
応募前に、少なくとも次の内容を確認しましょう。
- 具体的な仕事内容
- 雇用契約か業務委託契約か
- 時給、単価、報酬の計算方法
- 報酬の支払日と支払方法
- 勤務時間または納期
- 必要なパソコン環境やソフト
- 契約期間と解約条件
説明を求めても肝心な内容を明かさない相手とは契約しないようにしましょう。
4.応募した求人と別の仕事を勧められたら断る
データ入力に応募したのに、面接でWebマーケティング、アフィリエイト、物販、投資、ライバーなどの仕事へ話が変わった場合は、その場で断りましょう。
「あなたにはこちらの仕事が向いている」「データ入力より稼げる」と説明されても、募集時と違う仕事なら別の契約です。
特に、仕事の変更と同時にスクール、コンサルティング、情報商材などの購入を勧められた場合は、仕事の採用ではなく、商品やサービスを売ることが本当の目的だった可能性があります。
5.仕事を始めるためのお金を請求されたら支払わない
採用後に、次のような名目でお金を請求されたら、支払わずにいったん離れてください。
- 教材費・マニュアル代
- 研修費・資格取得費
- 登録料・保証金
- サーバー代・システム利用料
- コンサルティング料・サポート料
- 仕事に必要だと指定された商品や機器の購入費
一般的な雇用求人では、労働者に仕事を与える条件として高額な商品やサービスを購入させることはありません。
業務委託では、自分のパソコンや通信環境を用意する仕事もあります。しかし、「当社指定の教材やシステムを買えば仕事を紹介する」「費用は報酬ですぐ取り戻せる」という話は別です。
6.「簡単・誰でも・必ず高収入」を信じない
「スマホを1日10分触るだけ」「コピペだけで月収50万円」「初心者でも必ず稼げる」といった広告は、仕事内容と報酬が釣り合っていません。
在宅ワークであっても、報酬は作業時間、経験、専門性、成果などに応じて決まります。
誰でも短時間で必ず大金を得られる仕事はありません。
SNS上の稼いでいる画像の体験談も、簡単に作ることができますので画像や口コミだけを根拠に信用しないでください。
7.LINEやTelegramなどに誘導し、契約をせかす相手に注意
求人サイトからLINE、Telegram、Signalなど別のアプリへ移動するよう指示されたら、その後のやり取りを慎重に確認してください。
連絡アプリを使う企業がすべて怪しいわけではありません。
しかし、会社の公式メールや電話番号を示さず、匿名のアカウントだけで連絡し合うような相手は危険です。
電話やオンライン面談中に即決する必要はありません。「一度検討します」と伝えて切りましょう。
8.遠隔操作・借金・個人名義口座への送金を求められたら中止する
お金がないと断った人に遠隔操作アプリを入れさせ、画面を共有しながら消費者金融で借金をさせる手口があります。
勤務先や年収について虚偽の申告をするよう指示されたり、借入金を個人名義の口座へ振り込むよう求められたりしても、絶対に従わないでください。
通常、採用担当者が、応募者に借金をさせて契約代金を支払わせることはありません。遠隔操作アプリのインストールや、借入れ・送金のための画面共有を求められた時点で、その面談を中止しましょう。
ネットバンキングのID、パスワード、暗証番号、ワンタイムパスワードも教えてはいけません。
9.会社名・代表者名・住所・電話番号を組み合わせて検索
会社名だけでなく、代表者名、住所、電話番号も検索します。
次のように言葉を組み合わせると、過去の行政処分やトラブル、別会社での活動などが見つかる場合があります。
- 会社名+評判
- 会社名+詐欺
- 会社名+解約
- 会社名+返金
- 会社名+代表者名
- 電話番号+会社名
- 住所+会社名
ただし、検索結果に悪い評判がないから安全とは限りません。会社名やサービス名を変えた直後は、口コミがまだ存在しないことがあります。
反対に、ネット上の悪評だけで詐欺と断定することもできません。公式情報、行政機関の公表、複数の利用者の情報などを照らし合わせて判断しましょう。
10.求人サイト・有名ビル・取材実績だけで安全と判断しない
大手求人サイトへの掲載、立派な公式サイト、有名なオフィスビルの住所、メディアの取材記事などは、判断材料の一つにはなります。
しかし、どれか一つが確認できたから安全とは言えません。求人サイトの審査をすり抜ける場合もあります。
複数の情報を調べても不安が残る求人は、応募を見送るのが安全です。良い求人は、その一件だけではありません。
犯罪に加担させる「闇バイト」にも注意
怪しい仕事で失うものは、お金だけではありません。
「荷物を受け取って転送するだけ」「現金を受け取るだけ」「口座を用意するだけ」「携帯電話を契約するだけ」などの仕事は、詐欺やマネーロンダリングなどの犯罪に加担させる目的の可能性があります。
口座の売買や、他人に渡す目的で携帯電話を契約する行為は犯罪です。「指示されただけ」「アルバイトだと思った」では済まされず、逮捕されるおそれがあります。
仕事内容を隠したまま身分証明書や家族の情報を送らせ、応募後に脅して犯罪から抜けにくくする手口もあります。
少しでも不審に思ったら、警察へ相談してください。
参考:いわゆる「闇バイト」の危険性について(警察庁)
すでに応募・契約・送金してしまったときの対処法
「騙されたかもしれない」と思ったら、恥ずかしがったり自分を責めたりせず、早めに相談してください。
時間がたつほど、相手と連絡が取れなくなったり、お金の回収が難しくなったりします。
相手との証拠を保存する
次の情報を削除せず、スクリーンショットなどで保存します。
- 求人ページとURL
- 広告画面
- 相手の会社名、担当者名、電話番号、メールアドレス
- LINEやTelegramなどのアカウント情報とやり取り
- 契約書、申込画面、利用規約
- 振込先、領収書、クレジットカードの利用明細
- オンライン面談の日時と説明された内容
相手に証拠を消される前に保存しましょう。
追加の支払いをしない
「返金のために手数料が必要」「最後の一回を払えば出金できる」と言われても、追加で送金しないでください。
一度支払った人に、被害金を取り戻せるとうたってさらにお金を請求する二次被害もあります。
カード会社・銀行・決済事業者へ連絡
クレジットカード、銀行振込、コード決済などで支払った場合は、利用したカード会社、金融機関、決済事業者へすぐに連絡してください。
必ず返金されるとは限りませんが、送金直後であれば取引を止められる可能性があります。IDやパスワードを相手に見られた可能性がある場合は、パスワードも変更しましょう。
遠隔操作アプリを使った場合は被害の拡大を防ぐ
相手の指示で遠隔操作アプリをインストールした場合は、インターネット接続を切り、アプリを削除します。
遠隔操作された端末はいったん使わず、別のスマートフォンやパソコンから、メール、ネットバンキング、クレジットカード会員サイト、SNSなどのパスワードを変更してください。
消費者金融へ申込みをした場合は、該当する事業者にも早急に連絡しましょう。
消費者ホットライン「188」へ相談
仕事を提供すると言って教材やサービスを購入させる契約は、「業務提供誘引販売取引」に該当する場合があります。この取引に該当すれば、法律で定められた書面を受け取った日から20日以内は、原則としてクーリング・オフが可能です。
契約の状況によって扱いが異なるため、自分だけで判断せず、消費者ホットライン「188」へ相談してください。最寄りの消費生活センターなどにつながります。
参考:業務提供誘引販売取引(消費者庁・特定商取引法ガイド)
参考:消費者ホットライン(消費者庁)
犯罪や脅迫が関係する場合は警察へ相談する
犯罪への加担を指示された、個人情報を使って脅された、身の危険を感じるといった場合は、警察相談専用電話「#9110」へ相談してください。緊急の場合は110番へ通報します。
在宅ワーク詐欺に騙されないための10項目まとめ
在宅ワークへ応募する前と応募した後に、次の10項目を確認しましょう。
- 募集会社の名称・住所・連絡先が明記されているか
- 求人情報と公式サイトの会社情報が一致しているか
- 仕事内容・報酬・契約形態が具体的か
- 応募した仕事と別の仕事へ変更されていないか
- 教材費・研修費・サーバー代などを請求されていないか
- 「簡単・誰でも・必ず高収入」を強調していないか
- 匿名のアカウントへ移動させ、契約を急かしていないか
- 遠隔操作、借金、個人名義口座への送金を求めていないか
- 会社名・代表者名・住所・電話番号を調べたか
- 求人サイトや取材記事など、一つの情報だけで判断していないか
「せっかく見つけた在宅ワークだから」「ここで断ったら稼ぐ機会を失うかもしれない」と思うと、危険なサインを見過ごしやすくなります。
しかし、まっとうな会社は、応募者に借金をさせたり、仕事内容を隠したり、考える時間を与えず高額契約を迫ったりしません。
迷ったら「応募しない」「契約しない」「支払わない」ことが重要です。
不安を感じた時点でいったん離れ、家族や友人、公的な相談窓口へ相談しましょう。